憲法無視・国民無視の「挑戦」
国民春闘で堺の地から声をつきつけよう(1月27日付)
安倍首相は、22日の施政方針演説で、「挑戦」という言葉を繰り返しました。しかし、首相の「挑戦」と国民生活の実態には大きなかい離があります。
国民春闘では、実態に基づく声をつきつけ、堺の地から要求を前進させましょう。
民意無視に開き直り 戦争法・改憲
安倍首相は、空前の規模の国民の反対運動を無視して先の通常国会で成立させた平和安全法制(戦争法)をめぐり「200時間を超える充実した審議の結果成立した」「戦争法はレッテル貼り」と自賛。しかし「立憲主義」「民主主義」に反するとの国民の疑問に応える姿勢はありませんでした。戦争法強行につづく明文改憲についても「憲法改正を議論し、答えを出していく」と断言。「緊急事態条項」の創設を目的とした改憲にひた走り、参議院選挙の争点とすることを打ち出しています。
残業代ゼロめざす アベノミクス
安倍首相は「企業収益は過去最高」「雇用は110万人以上増」とし、「3年間のアベノミクスは大きな果実を生み出した」と誇りました。
しかし実態は、企業収益増の一方で内部留保が過去最高の300兆円に積み上がり、非正規労働者が2000万人を突破し、実質賃金も政権発足前より5%低下。「生涯ハケン」につながる労働者派遣法改悪など雇用劣化をすすめてきました。
さらに、継続審議となっている残業代ゼロ法案を念頭に「労働時間に画一的な枠をはめる労働制度を大きく改める」「専門性の高い仕事では時間ではなく成果で評価する」と踏み込みました。
大企業に大減税確約 賃上げは「目指す」
「昨年を上回る賃上げを目指すことで経済界と一致」したとしましたが、日本経団連は賃上げについて「収益拡大の企業」に限定したうえ、ベースアップは選択肢の一つとする消極的な姿勢であり、実効性は不透明です。
一方で法人税減税は「実効税率を来年度から一気に20%台へ引下げ」と明言。しかし、政権が実施済みの企業減税(復興特別法人税1年前倒し廃止や法人税率引下げなど)効果はすでに3兆円。来年度以降はさらに1兆円が加わります。
税率10%超にも言及 消費税増税
政府が来年4月実施を狙う消費税10%への増税について首相は、「軽減税率」で「消費者に負担軽減を実感してもらう」と合理化。
しかし実際は、「軽減税率」導入でも、消費税10%は庶民にとって大増税。実感するのは「生活苦」です。さらに首相は、2018年度以降に、消費税率を10%超に引き上げる選択肢もあることを認めています。
首相は、「介護離職ゼロ」「希望出生率1・8」を打ち出しますが実態は全くアベコベ。政権発足後の13~15年度も、単年度で1兆円近くと見込まれた社会保障費の自然増を毎年5000億円まで抑制。社会保障充実と言いながら、来年度予算でも、消費税増税と同時並行に、自然増を5000億円未満に抑制する予算案を提出しました。
改憲補完勢力を誇示 おおさか維新
こうした安倍首相の「挑戦」に対し、補完勢力であることをはばからないのが、昨年、政党助成金をめぐる「党内抗争」の末、国政政党として発足した「おおさか維新の会」です。12月19日には、安倍首相と橋下氏、松井代表が会食し、憲法改正で盛り上がり、さっそく1月24日に改憲案作成に向けて戦略本部会議を開催。
通常国会でも「野党でも与党でもない」として、改憲に向けた補完勢力の一員として存在感を発揮しようとしています。
組合員のみなさん
戦争法強行可決、大企業には法人税減税をばらまく一方で、消費税増税、社会保障削減など、国民不在・憲法無視の安倍首相の「挑戦」をストップさせることが重要です。
こうした情勢の下、戦争法廃止の2000万署名や批准投票の取組みを含め、2月10日の拡大中央委員会において春闘方針を提案します。賃上げと国民要求を、ここ堺の地から前進させましょう。