自治労連が書記長談話を発表
(8月18日付)
8月11日、九州電力は、国民多数の反対の声を押し切って川内原発1号機(鹿児島県)の再稼働を強行しました。自治労連は、福島第一原発事故も収束しておらず、住民の安全を無視した中で強行した原発再稼働に断固抗議するとともに、政府に対して、再稼働の中止と原発ゼロへの転換を図ることを強く求める書記長談話を発表しました。
安倍政権は、原子力規制委員会(以下、規制委員会)が福島第一原発事故後に作り直した「新規制基準」で審査をし、「適合」と認めた原発は再稼働させると公言している。規制委員会は川内原発1、2号機に続き、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)も「適合」していると決定した。しかし「新規制基準」は、原発の安全を保障するものでなく、過酷事故があり得ることを規制委員長が認めている。川内原発の周辺には過去に大噴火を起こした火山がいくつもあり、専門家からも「新規制基準は噴火対策が不十分である」と指摘をされている。しかも「新規制基準」は事故が起こった場合の住民の避難体制はもともと審査の対象外にしている。規制委員会が「適合」すると認めれば再稼働を進めるという安倍政権の方針は、国民の生命や安全を無視する極めて無責任なものであり、とうてい許すことはできない。川内原発は、事故が発生した場合の実効ある避難計画もないまま、鹿児島県と原発がある薩摩川内市の同意だけで再稼働が決定された。鹿児島県内だけでなく周辺の熊本県や宮崎県内の自治体からも住民説明や再稼働について住民の同意を求める意見が相次いでいるにも関わらず、国も九州電力も、住民への説明会すら行わずに再稼働を強行した。原発の再稼働に対しては報道各社の世論調査でも「反対」が「賛成」を大きく上回っている。
2014年5月、福井地裁判決は、大飯原発(福井県)の再稼働に対して「憲法の人格権(13条、25条)を超える価値を見いだせない」「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と明言して、再稼働の差し止めを命じている。原発再稼働や戦争法案など国民の声を無視して悪政を強行する安倍政権は、直ちに退陣をすべきである。
自治労連は、住民のくらし、安全を破壊する原発の再稼働に断固反対するとともに「原発ゼロ・再生可能エネルギーをいかす地域、自治体をつくるための提案」を発表し、全国各地の自治体との懇談を進め、原発ゼロへの合意づくりを進めてきた。また政府に対して、①原発ゼロ、再生可能エネルギー政策への抜本的な転換、②国の責任による実効ある避難計画の策定、③原発なしで地域経済の再生を図るための支援を行うよう要請してきた。自治労連は「憲法をいかし、住民生活を守る」という特別の任務(定期大会方針)を実践し、原発再稼働の中止、再生可能エネルギーをいかし、安全・安心に暮らせる地域をつくるために、引き続き、住民や自治体関係者との共同を広げてたたかうものである。