堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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入院食事代 1食260円→460円

厚労省案 患者負担増、来年度にも (7月9日付)  6月18日、国会の最終盤、自民党公明党によって、国民のいのちと暮らしを危うくする医療・介護総合法が強行採決されましたが、厚生労働省は7月7日、一般病床などの入院患者が医療機関に支払う食事代について、1食あたり原則260円の自己負担額を460円に引き上げる案を社会保障審議会(厚労省の諮問機関)医療保険部会に示しました。  安倍首相は「高齢化社会が進む中、社会保障の財政基盤の安定性を考えた時に、自助の精神がなければ、社会保障を維持できないのは当然だ」と、憲法25条の生存権保障と国の責務を棚上げし、国民や患者、利用者の負担増と給付の範囲の縮小は当たり前だと言い放ちました。 医療・介護総合法  強行採決されたこの法律により、地域の病院の病床(入院ベッド)数の削減など、淘汰再編成が急速に進み、医師や看護師や介護職員の業務が変質しかねません。来年4月から、要支援1・2の訪問・通所介護事業は保険給付から外され、市町村の地域支援事業に置き換えられ、特別養護老人ホームの新規入所者は要介護3~5の人に限定されることになります。また、1割の介護サービスの利用者負担を、一定の所得がある人は2割に引き上げられ、介護施設に入所している低所得者に対する居住費や食費の補助も縮小されるなど、医療と介護サービスの質と量が低下し、重大な影響が予想されます。 厚労省案、強引に患者追い出し  入院時の食事代は、2012年度には医療保険から約4800億円が給付されています。医療保険の国庫負担を減らすために、病床(入院ベッド)の削減と併せて、大幅負担増による〝患者追い出し〟を強引に推し進めるのが狙いです。  一般病床の食費は1食640円となっています。一般病床や精神病床に入院する患者と、長期治療施設「療養病床」に入院する65歳未満の患者は、このうち食材費として260円を負担し、残りは公的医療保険から給付されています。住民税が非課税の場合、自己負担は210円に軽減され、入院が90日を超えると自己負担は160円に下がります。慢性期の患者らが対象の、療養病床に入院する高齢者の場合は、調理費も加わって自己負担額は460円となっています。 在宅患者との公平性の確保?  社会保障審議会で厚労省は、一般病床でも同様に「調理費分など」を負担してもらう考えを提示。保険財政の改善とともに、在宅療養患者との「公平性」も値上げの理由に上げました。  入院給食は医療の一環であり、負担増によって〝患者追い出し〟を強引に進めれば、状態が再悪化して結局、保険財政を悪化させるだけです。「公平性」をいうのなら、在宅患者にも管理栄養士による指導を充実すべきであって、入院患者の自己負担を増やす理由にはなりません。  審議会部会の委員からは「そもそも入院中の食事は治療の一環であり基本的にはこれ以上、自己負担を増やすべきではない」「低所得者や治療食が必要な患者に配慮が必要だ」と患者負担増に反対する声が複数あがりました。 すべての人々との共同で  いま、貧困と格差に喘ぐ国民にとって、この「医療・介護総合法」は、さらなる所得再分配の否定で、社会保障制度破壊をいっそう加速させるものです。国民のいのちと生活に重大な影響を及ぼす悪法の発動中止と撤回を求め、日本の社会保障と未来を守ろうとするすべての人々と共同して取り組みを進める必要があります。