堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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地方公務員法等改悪法案を可決

「人事評価制度は地方公務員の役割を大きくゆがめる」

職場でのたたかいがさらに重要に

(5月1日付)

 地方自治体に人事評価制度の導入と評価結果の任用、給与等への活用を押しつける地方公務員法等「改正」法案は、4月25日の参議院本会議において、自公維などの賛成多数で可決されました。制度を実施させない、広げさせない職場でのたたかいの強化が求められます。

 この法案は、衆議院で3時間・参議院も3時間という極めて短い審議時間で、人事評価制度の導入は、職場に混乱を持ち込み、市民サービスの向上につながらないとの指摘に正面から答えないまま、採決が強行されました。

 参議院・総務委員会での主な質疑応答は次のとおり。

 日本共産党の吉良議員が政府を追及。民間企業での成果主義賃金について、成功したと答えた企業が31.1%に対し、失敗と答えた企業が68.5%との調査結果(日経ビジネス)や、イギリスでは「コストがかかりすぎる」「職員のやる気につながらずむしろやる気を失わせたこと」などを理由に、10年前から廃止されている実態を紹介し、「こういう調査を検討していれば、すべての自治体に制度の導入を強制するような今回のような法改定にはならない」と、その必要性を否定しました。

 また、2011年から相対評価による人事評価制度導入を進めている大阪府のアンケートで、絶対評価と比較して相対評価による人事評価が「職員の資質、能力及び執務意欲の向上につながるか」との問いに、評価者の74・7%、被評価者の70・4%が「思わない」と答えていることを紹介。「各自治体の規模や実情を無視し、人事評価制度の法定化を強要することは到底容認できない」と主張しました。

 新藤総務大臣は、「国は絶対評価でやっている。自治体ではそれぞれの考えで決めればいい。この人事評価がより良い地方行政に、住民サービスにつながるようなものにならなければならないために、助言していく」と、答えました。

 法案に反対した民主党の江崎議員、社会民主党の又市議員は、人事評価制度と「自律的労使関係」(地方公務員の協約締結権の回復など労働基本権の制約の見直し)と一体のものという立場から質問。人事評価制度のみを導入する法案について、「機能しない、むしろ逆効果をもたらす」(又市議員)と政府を質しました。新藤総務大臣は、平成24年5月の地方公務員制度改革に示された「自律的労使関係制度」についてふれたうえで、法案が「能力・実績主義の徹底を図ること」を目的としたものであると、答えました。

 法案に賛成した日本維新の会・片山議員も、法案が小規模自治体にまで一律に導入を押し付けている点を懸念し、「人事評価制度は小規模な町村までやらせるのは無理だ。小さな町村まで全部やれというのは、改める考えはないのか」と質問。他に、寺田議員(結い)、主濱議員(生活)らも、同様の質問を行いましたが、これに対して、新藤大臣は「規模に合わせた、それぞれの自治体の独自の判断をしていただきたい」と答えました。

 法案の成立を受け、今後政府・総務省の地方への押し付け、締め付けが予想されます。堺ではすでに人事評価制度が導入され、評価結果が一時金に反映されていますが、人材育成や能力開発につながっているかどうかの検証を尽くさせる、少なくとも評価者と被評価者の理解と納得を得られる制度にしていくことが重要です。また、未実施自治体での制度を広げさせない世論と運動を強めていきましょう。