堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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3.11を忘れない~東日本大震災 シリーズ⑦~

安全・安心のまちづくりに果たす医療分野の役割―高田病院の取組

(3月4日付)

 1月27日、第6回目いのちと地域を守る大運動意志統一集会で、岩手県立高田病院の石木幹人院長が記念講演。

 高田病院は、H16年に産婦人科の撤退で病床が縮減されるなど、多額の累積赤字を抱えていました。その際運営方針を確立し、①亜急性期慢性期患者の受け入れ、②住民に対し1次、2次診療の確保、③高齢者の医療への対応を掲げました。

 地域講演会を開催すると同時に住民の要望を聞く活動を行い、高齢者医療についても、トータルケア委員会(リハビリ、排泄等の小委員会を設置)を発足させ、毎週トータルケア回診を実施し、ケアマネージャー等と地域連携パスを作成し、患者が退院後の生活に安心感を持てるようにし、さらに寝たきり高齢者の外来通院では予約制の「ほほえみ外来」を開始したこと等が報告されました。

 これらの取組みで、H21年には黒字転換し、翌年に病院改築が決定。しかし、H23年3月11日大震災が発生。医療関係施設はほぼ全壊、商業、製造業や都市機能が破壊されました。病院職員74名(消息不明者9名)は、入院患者51名中生存者39名(3名が当日低体温などで死亡)と、60数名の一般避難者と共に発生日の夜は屋上で過ごし、早速翌日に職員ミーティング。被災者に医療を届けるため市内6ヶ所に救護所を立ち上げ復興医療をスタート。

 現在は被災者の「うつ」予防にむけ、“畑にはまらっせん“プロジェクト(病院が仮設住宅の近くの空き地を畑にして仮設住民に使ってもらう活動)を開始。

 最後に、地域医療には、高度な医療技術や知識に加え、総合的に患者さんを診察する意欲が大切。住民と共に作る医療はやりがいがあり、地域密着型病院を支える医師が必要で、そこに理解を示す医師が増えてほしいと講演されました。