2月9日付
経団連は1月20日、経営側の春闘対応指針「2026年版経営労働政策特別委員会報告」を公表しました。
経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)では、賃上げのさらなる定着による「実質賃金の安定的なプラス化」が社会的な要請であるとし、ベースアップ実施の検討を「スタンダード」と踏み込みました。一方、裁量労働制の大幅な規制緩和も迫っています。
報告は、購買力向上など需要増による「デマンドプル型インフレ」への移行が必要とし、賃上げの「力強いモメンタム(勢い)」の「さらなる定着」と、それを通じた「実質賃金の安定的なプラス化の実現」が社会の要請であるとの考え方を提示。ベア実施の検討を「賃金交渉におけるスタンダード」と位置づけを強めました。併せて、適正な価格転嫁を「社会的規範」とすることも呼び掛けています。
総額人件費管理など従来の表現が弱められた半面、査定配分の拡大や、上位等級への重点的増額など「多様な方法による賃上げ」の記述は残っています。
地域別最低賃金については昨年同様、大幅引上げに反対する表現はなく、中小企業の賃上げの環境整備を要請。25年度改定で相次いだ発効日の後倒しにも触れ、26年度の改定審議前の検証を求めています。
一方、労働時間規制の緩和の主張も強めています。裁量労働制の拡充を「喫緊の最重要課題」とし、過半数労組と使用者の合意で対象業務を決められる仕組みの創設を求めています。
ベア推進も「失われた30年」反省なし
筒井義信会長(日本生命保険特別顧問)就任後初の経労委報告はベア実施の検討を「スタンダード」と踏み込みました。内需の拡大による「デマンドプル型インフレ」が必要だとし、「実質賃金の安定的なプラス」が社会的な要請だとしました。査定配分の拡大など不十分な点は多々ありますが、経団連は毎年、労働者側の主張を少しずつ追認しているようにも見えます。
賃上げを求める社会的な世論の高まりを背景に、労働者側の長年の主張の正当性が改めて示されたと言えます。ただ、発表時の会見で担当役員は(定期昇給相当分を含む)5%前後の賃上げ率という民間予測を問われ「その程度に落ち着いてほしい」と述べ、報告には賃金抑制による「失われた30年」への反省はありません。
近年、比較的高水準の賃上げが続きますが、物価上昇には追いつかず、実質賃金はマイナスが続いています。
「失われた30年」で、中小企業の利益を奪い、労働者の賃金を抑制してきたことと、それによる日本経済の停滞、近隣のアジア諸国に次々に追い越されていく勤労者の年収、働く者の貧困化を考えると、はなはだ不十分としか言いようがありません。
やはり労働者側が、抑えられ続けた分を取り戻す大幅賃上げと、中小企業や非正規雇用など厳しい実態にある人々の抜本的な底上げを、より強く求めていくこと必要です。
堺市職労も、国民春闘に参加し、民間労組と連帯して労働条件改善の取組みを進めます。