9月30日付
8月末にオンラインで、自治労連の「第1回地方組織 賃金権利担当者会議」が開催されました。32地方組織・36人が参加し、2024年人事院勧告を学び、議論を深めました。
冒頭に前田副委員長は、「24人勧は、①2024年4月遡及の勧告と②2025年4月からの『給与制度のアップデート』の二階建て。給与勧告は30数年ぶりの引き上げなどと言われているが、8月の東京都区部消費者物価は2・4%上昇など、勧告の水準では引き続く物価上昇にとても追いつかない。また、地域手当についても、改善ではなく地域間格差は広がっている。秋のたたかいのため意思統一を行おう」とあいさつ。 次に、嶋林賃金権利局長が「24年人事院勧告の批判と論点(案)」を報告し、具体的共有をはかりました。
●討論~意見交換「給与制度のアップデート」、地域手当など~
千葉 地域手当の問題が「給与制度のアップデート」の中で一番重要。千葉では、自治体数ではなく、自治体職員数(県除く)で地域手当の試算をしたところ、7割がマイナスとなる。勧告通りの地域手当(一律4%)になれば、人材確保は一層困難となる。独自の割合にした場合に、「国からのペナルティ(特別交付税の減税措置)を行うべきではない」と強く押し出さなければならない。
島根 再任用の賃金について、島根では3級に格付けされることが多いが、それが当該級の初号よりも低いというのはおかしい。また、初任給が上がることで、会計年度任用職員の給与に対してもきちんと改定を行わせなければならない。財源の裏付け措置はあるのか?
【答弁】
○アップデートの方向性:9月下旬に「社会の変革に対応した地方公務員制度のあり方に関する検討会」(通称「あり研」)が一定の方向性を示すようだ。「あり研」では、「国に準ずるのが妥当」と議論されている。
○地方公務員の地域手当に係る特別交付税の減額措置:「あり研」で、減額措置に対する改善意見も出されている。自治体当局とは減額措置への問題意識について認識を一致させておくことが重要。
○再任用の賃金水準:再任用制度ができた際、給料が一定金額を超えると、支給年金額が減額されることを踏まえた水準と決められた。再任用職員の格付けの運用は自治体によるので、水準の議論が必要
○会計年度任用職員の給与改定の財源:昨年、国は、追加財政需要額(予備費)では足らず、地方交付税の補正予算を組んだ。その際、「今後も同様の事態には同様の措置を講じる」と大臣が答弁している
他に「同一労働同一賃金の原則」、「賃金は生計費を基に」という点が重要(岩手)といった意見が出され、「賃金プロジェクト」(次回提案予定)で、学習運動、生計費原則、現場の声とそれを裏付けるエビデンス、また世論を味方につけ、職場、地域でも「見える化」された運動の展開が必要と考えている。これから、一緒にプロジェクトをつくり、成功させようと呼びかけがありました。
最後に、橋口書記長は「人勧制度は破綻しており、地方へは『運用できない・させない』、その世論を大きくしていくことが必要だ。24人勧で、中高年層は実質賃下げとなり賃金がフラット化された。生計費原則に基づけば、1%、2%の賃上げではまったく不十分。最低賃金改定での地方の反乱が昨年以上に燃え上がり、全国一律最賃制度へ動き始めた。地域手当も同様に、『0%ではだめ、最低でも4%』の運動を。全体をプラス4%に。その一歩になるたたかいをこの秋からはじめよう」とまとめました。