9月2日付
例年10月上旬に行われる堺市人事委員会勧告に向けて、26日に堺市労連(堺市関連労働組合連合会:堺市職労も加盟)が人事委員会委員長あて要請書を提出したところです。
これを踏まえ堺市職労として独自に人事委員会への要請署名に取り組みます。
生活改善につながらない勧告
人事院は、民間給与が国家公務員給与を1万1183円(2・76%)上回っており、初任給は一般職について高卒2万1400円、大卒2万3800円引き上げ、人材確保の観点等を踏まえ若年層(概ね30歳代後半まで)に重点を置き、再任用職員をふくむすべての号俸にわたる俸給表の改定を勧告しました。一時金は、民間の年間支給割合が4・60月分であるとして、現在の4・50月分を0・10月分引き上げ、引き上げ分は、期末及び勤勉手当に均等配分するとしています。
しかし、モデル試算による定期昇給分を加えた給与改善は、月収で約4・4%増にとどまっています。24春闘の賃上げ率5・33%(厚労省調査)、最低賃金の引き上げ目安額50円(5・0%)には及ばず、奮闘する職員の労苦に報いるものではありません。また官民較差の率2・76%は32年ぶりの水準ですが、若年層へ傾斜した配分のため、高齢層は生活改善につながる引き上げになっていません。
人事委は職員の奮闘に応える勧告を
「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(給与制度のアップデート)」については、「若年層の採用等におけるより競争力のある給与水準の設定」「職務や職責をより重視した俸給体系等の整備」と、能力・実績主義の強化を中心に置いた改定であり、一層の競争を煽るものです。地域手当の「大くくり化」には、地域間格差是正が期待されましたが、官僚を意識した中央の地域手当率固定化を前提に「大くくり化」された結果、大阪府は12%(大阪市16%)となりましたが、多くの地域では引き下げとなり、大都市圏と地方との地域間格差は広がる結果となっています。
また、再任用職員への生活関連手当支給の拡大が示されたことは重要ですが、一方で、子に係る扶養手当の増額に伴い配偶者に係る手当が廃止されることとなっています。
今後、堺市人事委員会においても勧告にむけた作業が行われますが、人材確保が困難な中で賃金労働条件の改善が求められます。また、住民のいのちや暮らしを支えるために堺市で働く全ての労働者の奮闘に応える勧告を行うべきです。
要請署名項目
1 物価高騰や最低賃金引上げ(大阪50円、1114円)の状況を踏まえ、堺市に雇用される全ての労働者の生活改善につながる勧告を行うこと。
2 初任給の大幅な引上げとともに、中高齢層職員を含む全ての世代について、物価高騰の影響を考慮した賃金・一時金引上げの勧告を行うこと。
3 55歳昇給停止など、高齢層職員の昇給停止・昇格抑制措置については廃止し、定年まで定期昇給を行うよう勧告すること。また定年引上げ者の賃金について、働きがいと生活が維持できる水準に改善するよう勧告を行うこと。
4 再任用職員の賃金・諸手当については、退職後の生活の維持や再任用職員の職務・職責に見合った水準へ引上げるよう勧告を行うこと。また、生活関連手当(住居手当、扶養手当等)を支給するよう勧告を行うこと。
5 会計年度非常勤職員などの非正規職員の賃金・労働条件については、正規職員との均等待遇を念頭に処遇改善のための勧告を行うこと。
6 扶養手当については、支給範囲の拡大及び支給額を増額するよう勧告を行うこと。
7 人事評価結果を一時金の成績率に活用しないこと。また、昇任・昇格、昇給等への活用範囲の拡大を行わないよう勧告すること。
8 「テレワーク(在宅勤務)」や「時差出勤」については、問題点を検証し必要な改善を図るよう勧告すること。また、勤務間インターバルの制度化について勧告を行うこと。
9 労働基準法33条の運用を厳格化し、長時間勤務が恒常化している職場については常勤職員による適切な人員配置を行うとともに、時間外勤務の上限時間を月45時間・年間360時間以内とし、その徹底を図るよう勧告を行うこと。