8月28日付
16日、大阪地方最低賃金審議会に提出した「異議申出書」は、大阪労連全体で337通(堺市職労も提出)に達しましたが、21日の審議会では、大阪の最低賃金は中央目安どおり50円引上げの1114円が確定しました。
中央最賃審議会が出した24年度の最低賃金の目安は、時給50円増の1054円。最低額は943円で、物価高に追いつかず世界各国と比べても低すぎます。
今や先進諸国の最低賃金は2千円台に達しており、ドイツが12・41ユーロ(2060円)、フランスが11・65ユーロ(1934円)、英国が11・44ポンド(2265円)、豪州が24・10豪州ドル(2434円)となっています。 また、19年5月~24年5月の5年間の実質最低賃金の上昇率はOECD(経済協力開発機構)30ヵ国平均で12・8%。日本は6・3%でした。
国内のフルタイム労働者賃金中央値と比べても、日本の最低賃金は低すぎます。中央値に対して5~6割の水準が相対的貧困ラインと考えられていますが、日本の最低賃金は46%です。
最賃大幅引き上げで
貧困・格差を軽減
最低賃金法は「賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的としています。
時給1054円で月160時間働いても、月額16万8640円にしかなりませんが、1500円では月額24万円となります。
非正規労働者が全労働者の37%(23年)を占めるなか、最低賃金の引き上げは、賃金底上げに直結し、貧困・格差を軽減するうえでも有効です。賃金水準が上がれば、年金額も一定上っていきます。
中小に直接支援が必要
中央最低賃金審議会は最賃改定の目安を示すに当たり、中小企業の中には労務費の価格転嫁交渉ができない企業もあるため、引き上げには「一定の限界がある」と述べ、政府に対策を要望していますが、賃上げ促進税制など、岸田政権が打ち出している施策を列挙するだけです。
賃上げ促進税制は、法人税額に対する税額控除なので、黒字企業のみが適用対象です。中小企業の6割超は赤字なので、適用される企業は限られています。
最賃の大幅引き上げに向け、社会保険料負担の減免など中小企業が利用しやすい直接的支援が必要です。
労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)は、中小企業では8割前後に達する一方、大企業は5割ほどです。
大企業の営業利益は24年3月期決算でトヨタ自動車が初めて5兆円台に乗るなど、過去最高を記録。膨らみ続ける大企業の内部留保に課税し、賃金底上げに活用することこそが必要ではないでしょうか。
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執行部は、10月1日からの大阪の最低賃金額が確定したもとで、堺市の会計年度非常勤(事務補助)1年目、2年目の時間単価をはじめとした職員の賃金改善、人員体制確保、休暇制度改善などを求めて、9月中に堺市当局との団体交渉を開催します。