8月23日付
8日、国家公務員給与に対する人事院勧告が行われました。「給与のアップデート」に関する内容として若年層に対しては大幅な引上げが行われる一方で中高年層は低率に留まりました。
新卒初任給は、俸給表で総合職試験の大卒が20万700円から23万円へと14・6%、一般職の大卒が19万6200円から22万円へと12・1%、高卒初任給が16万6600円から18万8000円へと12・8%それぞれ引上げられました。
これらに近い若年層も概ね10%前後の引上げとなります。ちなみに霞ヶ関などで勤務すれば「本府省手当」に加え、地域手当が20%加算されるので一般職大卒で27万1200円となります。
中高年層を冷遇
現在、30~50代前半までの堺市職員の大半は大卒初任給は給料表で18万円前後、地域手当(または調整手当)を含めて20万円前後だったことから今回の改定では、当時から約2割、大卒なら約4万円初任給が引き上がったことになります。しかしその引上げ率は年齢が上がれば上がるほど低くなる傾向にあり、40代前半で2%台、40代後半以上はさらに圧縮され、1%台に留まるなど中高年層を冷遇する内容となりました。全体の平均は手当を含めて2・76%の引上げですが、10%前後引上げられた若年層とは大きな格差があり、近年2%を大幅に超えて物価が上昇していることを鑑みれば不十分と言わざるをえません。
到達水準は低いまま
一方、この給料表改定で「若年層が厚遇されている」とも言い切れません。
平成18年度に堺市が政令指定都市になる際に導入された「構造改革給料表」以前であれば、定年直前に給料表で42万円前後に到達していましたが、現在は行政職3級(副主査)で38万円前後。約4万円引き下げられました。これは1年毎に増額する給料額、すなわち「昇給間差」が大きく影響しています。「構造改革」前であれば一般職でも30代から40代前半にかけては毎年度1万円近く昇給し、「引き続き市役所でがんばって働いていこう」というモチベーションに強く関連していました。一方で国家公務員俸給表は今回の改定でも3級の30代から40代前半で昇給間差は4千円から5千円程度。それより上では3千円台かそれよりも小さくなります。初任給から若年にかけては民間企業に見劣りしない賃金であったとしても年齢が上がるにつれて昇給間差は縮小し、「このまま役所で働き続けるべきか」と疑問を持ってしまいます。
2000年代、大阪市問題や橋下徹大阪府知事が誕生した頃は、あたかも公務員が民間より高給・厚遇であるかのような「公務員バッシング」が横行し、「官から民へ」の強い流れが作られ、職員の大幅削減や公務労働の民間委託が積極的に行われました。結果、公務職場の魅力が失われ、役所・役場職員が大幅に減少。東日本・熊本・能登半島のような大規模災害時に対応できる人員が大きく不足し、セーフティネットであるべき役所・役場が全く機能しない状態が続きました。
また公務員給与は、とりわけ地域の民間給与と大きく連動します。
民間給与と比較して公務員給与が決定されるだけでなく、公務員給与の引上げを見て民間も引き上がり、好循環が生み出されるのです。
地方公務員に対しては各都道府県や堺市を含めた政令指定都市の人事委員会が、例年9月から10月にかけて給与勧告を行います。これからの1か月が勧告に対するヤマ場です。堺市職労でも「2024年の給与勧告にあたっての要請書」でご意見や署名を募ります。一人でも多く集約し、労働者の生活改善、安心し継続して働き続けられる職場づくりに取り組んでいきましょう。