堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

全労連事務局長談話 暮らしを守り、生活改善をはかる 地方最賃審議会で目安を上回る引き上げを

7月31日

 

中央最低賃金審議会が2024年度の最低賃金について、すべてのランクで「50円」の引き上げとする目安を厚生労働大臣に答申したことについて、全労連事務局長談話を紹介します。

 

一桁足りない目安
 中央最低賃金審議会は7月24日、24年度の最低賃金について、すべてのランクで「50円」の引き上げとする目安を厚生労働大臣に答申した。答申(公益委員見解)では「消費者物価の上昇が続いていることから労働者の生計費を重視し」、「最低賃金に近い労働者の購買力を維持するため」「頻繁に購入」する支出項目に係る消費者物価の水準を勘案し、5・0%(50円)としたとしている。しかし、これでは、物価上昇の後追いにすぎず、従来の引き上げ論拠とかわらない。審議のなかでは、「現在の最低賃金は絶対額として最低生計費を賄えていない」(労働者側見解)との指摘がされている。労働者の賃上げによる経済の活性化にもつながらない、一桁足りない目安と言わざるを得ない。
 全労連と地方組織は、全国28の都道府県で「最低生計費試算調査」(約4万8千人)に取り組み、その結果から「8時間働けば人間らしく暮らせる」には、全国どこでも月額24万円(時給1500円)以上必要であることを明らかになった。厚労省中央最低賃金審議会に対してもこのデータを採用することを求めてきた。こうした調査・データ収集を怠り、その一方で大企業が労務費の価格転嫁にもまともに応えないことをよそに、大幅引き上げにブレーキをかけていることは看過することはできない。


欧米から大きく遅れる
 目安どおりだと、最低額が943円となる。世界では、すでにオーストラリアで約2223円、イギリス約2102円、ドイツは約1976円である。日本の最低賃金の水準は欧米の水準に届いていない。全労連は、政府に対し、「2030年代半ば」を多少早めるのではなく、全国一律制の最低賃金制度へ転換し、ただちに1500円以上にすることへの決断を求める。「価格転嫁の遅れ」を指摘するならば、まず全国一律制度を実現し、最低賃金を大幅に引き上げ、価格転嫁を促し、必要な中小企業支援をすべきだ。
 今回の答申が全てのランクの引き上げ額を同額としたことは、地域間額差を広げた昨年の答申に比べ、一歩前進したといえる。
 地域最低賃金額の決定に向けた審議が地方最低賃金審議会で始まっている。昨年、地域間の格差解消を求める奮闘と運動の広がりで、50・06%の道県で目安を上回る改定額を実現させてきた。地域間格差が広がっている地方の実態は深刻であり、私たちの運動で20年度から23年度にのべ502の自治体で最低賃金の引き上げと「格差の是正」、中小企業に対する支援の強化を求める意見書が採択され、その声は年々広がってきている。
 全労連は、当事者の声を前面にかかげ、組合員の総力をあげて、目安額を上回る大幅な引き上げで、地域間格差の解消に全力をあげる。同時に、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。
 *******
 7月25日には、大阪地方最低賃金審議会総会が開かれ、大阪労連からも意見陳述を行い、総会会場前では50人の参加で宣伝・座り込み行動を展開しました。
 上積みを目指して引き続き世論を高めましょう。