自治体学校参加レポート M・T氏
7月26日付
20~21日、横浜市内で第66回自治体学校が開催され、自治体職員、議員、研究者などのべ1300人が参加しました。
1日目の基調講演で中山徹・奈良女子大学名誉教授(自治体問題研究所理事長)は「戦争できる国づくり」や「デジタル田園都市国家構想」、社会保障切り捨てなどに自治体が動員される実態を振り返り「自治と公共性の再生が必要」と指摘。「地域の平和、安全、市民生活向上、地域経済活性化のためには国と自治体が両輪で役割を果たす必要があり、国がその立場に立たないのなら、自治体は国の政策から地域と市民を守る政策を展開するべき」と述べました。 また、若い世代や女性の投票率が上がった杉並区長選挙などを例に「投票率が上がらずに地方自治が大きく動くことはない」と指摘しました。
記念講演では、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんがシリアやウクライナでの過酷な戦争、今なお犠牲者が増えるパレスチナ・ガザ地区の写真を紹介。「果たして海の向こうの遠い問題なのか」と問いかけました。また東日本大震災で被災地となった岩手県陸前高田市で出会った人々の写真を紹介し「遠いと思われがちな地との心の距離を縮めてくれた」と語られました。
2日目に実行委員として参加した分科会のテーマは「少子化克服に向けた政府と自治体の公的責任を考える」。
助言者講演で中山徹氏は、政府の「異次元の少子化対策」について、新自由主義的政策には手を付けず、少子化対策を「財源問題」にする姿勢を批判。また子育て支援における市町村の責任を揺るがしかねない「こども誰でも通園制度」の問題点を指摘しました。参加者のレポート報告や発言でも同制度への懸念などが出されました。
かなり暑い中でしたが、岸田政権が国の指示権拡大など自治の破壊をすすめる中、地方自治の発展をめざして学びと交流を広げる重要性を再認識した有意義な機会となりました。