堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

いきいき働き続けるために バカンスについて考える 余暇には独自の存在意義

7月17日付

夏季一時金等交渉で夏季休暇5日(7月~9月)が回答されました。「みんなが気持ちよく休める職場」にしていくために、職場で調整して計画的に連続取得をすすめましょう。

 

 「『休めたら休もう』『休めなかったら仕方ないから働こう』は、あり得ない。なにがなんでも休む。そしてその責務を担うのは雇い主というのが、フランスのバカンス制度の柱です。年次休暇の運用は、マネジメントの職務なのです」(休暇のマネジメント 髙崎順子著)
 夏季休暇の季節です。この時期、夏季休暇の取得に向けてスケジュール調整しているなかで、ヨーロッパのバカンス制度について職場で話題にのぼることも多いのではないでしょうか。
 日本と異なり、バカンス大国と呼ばれるフランス。なぜ人々は長期休暇を取得できるのでしょうか。実はフランスもかつては「休めない国」だったそうです。そこには制度上の差異があります。
有休は使用者の義務
 日本では、年次有給休暇制度は、労働者に取得の裁量があります。労働者の立場が弱く、業務内容や人員体制の調整は困難なため、取得率が低い状況です。他方、ヨーロッパでは、有給休暇を与えるのは使用者・管理者の義務であり職務の一部となっています。


連続取得が国際標準
 また年休の期間も国際的には「まとめて取る」ことが標準です。ILO〔国際労働機関〕の年休条約(1970年)では、年休は1年間に最低3労働週(原則は分割不可)、分割する場合でも最低2労働週は継続して付与するとされています。週休2日制の場合、休日を含めて労働者は16日間連続して休みます。これが国際的な最低基準です(日本は未批准)。


余暇には独自の意義
 フランスでバカンス制度の基盤ができたのは1936年。各企業で労使協定が結ばれ、次第に労働者にも休暇の慣行が広がり、「年に1回、原則連続取得で15日間取得させる」法律が成立しました。髙崎さんはこの法律の理念として「自分がやりたいことができる、まとまった自由な時間が人間には必要だ」という思想があったと指摘します。働くことから離れた時間(余暇)には、独自な存在意義があるのです。
 現在のフランスでは、バカンスが定着。観光業、インフラなど社会基盤が整備され、経営者も長期休暇が生産性向上に寄与すると考えています。
 もちろん医療や介護など取得しにくい業態もありますが、分業の徹底や責任分担の明確化、当番制の導入など工夫して、年休付与という雇用主の義務が履行されています。
 堺市職員ワーク・ライフ・バランス計画では年次有給休暇の平均取得日数を16日以上とするよう定められ、日本でも年5日の年休取得が義務化されました。日本では国際的に見て、祝日の日数が多いという特徴があります。この特徴も活かして、まずは夏季休暇も含めた年休の連続取得に職場あげて挑戦してみませんか。

岡山県労働者学習協会長久啓太氏の講演を参考にしました)