堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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枚方市組合事務所退去要請問題 「支配介入」、司法も断罪

モノ言えぬ雰囲気作ってはいけない(9月28日付)

組合ニュースで政権批判の記事を掲載したことを理由に、枚方市が市職員労組に組合事務所からの退去を求めたことについて、大阪地裁は7日、「支配介入」と断じました(12日付既報)。府労委に続き、司法も断罪したこの事件を考えます。

 

 市は2018年12月、枚方市職労(自治労連)に対し、組合事務所からの自主退去を求めました。安保法制、沖縄・辺野古新基地建設、「アベノミクス」などについて、政権を批判した機関紙の記事が、組合事務所の使用目的制限に反するというのが理由です。市職労の申し立てを受け、大阪府労委は20年、市の「支配介入」を認め、再発防止の宣誓と団交応諾を命じていました。
 この命令の取り消しを求めた市の請求を、大阪地裁は7日、棄却しました。判決は「表現の自由の範囲において、(組合が)一定の政治的意見を表明することが全く許容されないわけではない」と指摘。市が問題視する記事の組合ニュースに占める割合が必ずしも大きくないことや、事務所明け渡しの組合活動への影響が極めて大きいこと、他労組との対応に差があることなどから、組合の弱体化やその運営・活動への妨害を狙う「支配介入」と断じました。
 城塚健之弁護士は「最高裁判例国労広島地本事件・75年)は労組の政治活動は広く認められるべきで、どこかで線引きをしてそれ以上は認められないというものではないという判断を示している。労働組合がきちんと言うべきことを言え、批判できるということが揺らいではならない。これができなくなれば暗黒社会の一歩手前だ」と語りました。
 市職労の市本逸也委員長は「コロナ禍が収束せず、行政課題が山積する中、労使が争っている場合ではない。市長は控訴せず、判決を受けとめて命令を履行してほしい」と述べました。
 市は「主張が認められず残念。判決内容を精査していく」と述べています。
 同市では、15年に伏見市長が就任して以降、71年から続く組合事務所の使用について、勤務条件や福利厚生の活動に限るという市独自の使用目的制限を設けていました。
 府労委は退去要請直後の19年2月、市に紛争の不拡大を求める異例の要望書を提出。組合事務所の使用許可は今も続いています。
物言う組合の排除狙う
 市職労は日刊で機関紙を発行しています。役員を中心に輪番で執筆、編集、印刷し、翌朝、出勤する職員に手配り。毎日10人近い組合員がこの活動に携わり、職場をめぐる日々の動きを速報で伝えています。機関紙「日刊ニュース」は64年8月に創刊、9月7日で1万5504号です。
 紙面は、交渉報告から、労働法制、春闘、政治情勢、平和、食の健康まで幅広く、最近では、市民にあまり知られていない市役所移転問題を取り上げ、職場で話題になりました。
 ホテル誘致など駅前大規模再開発を進め、保育所学童保育の急激な民営化など福祉の削減を進める市長にとって、物言う組合と、日刊ニュースは目障りなのだろう、と支援者らは指摘します。
 自治労働組合の表現を抑制しようとする維新の会の動きは、枚方市に限りません。表現の自由は、民主主義社会を基礎付ける重要な権利です。モノ言えぬ雰囲気が作られることはみんなへの攻撃です。枚方市職労に連帯してたたかいます。