堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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自治体学校 水分科会  「水道広域化と民営化」

8月24・26日付 水道労組 Eさん

 「今夏の自治体学校、水分科会は近畿で取り組みを」と寒さが抜けきらない3月、1通のメール。
 昨年の自治体学校「水分科会」は、大阪市水道民営化問題で一緒に運動に取り組んだNPO団体AMネットを助言者に「広域水道に住民の声は届かない」をテーマとして、香川県、千葉県、奈良県大阪市三重県伊賀市静岡県浜松市といった全国的な地域での広域化や民営化についての報告がされました。
 今年の水分科会について、4月より近畿ブロック公営企業評議会や大阪自治労連公営企業評議会、近畿水問題研究会で「近畿での広域化」をテーマに議論を始めました。
 去年の夏、十数年疎遠になっていた友人(富田林市の水道料金値上げ反対運動をしている)から声がかかり、その縁で繋がった富田林から千早赤阪村で怒っている住民がいると「水道」についての学習会に呼ばれました。
 また、近畿水問題研究会の理事から京都府南部で広域化考える会をやっているよとの情報が有り、京都に連絡。「じゃあ今度大阪の話をしに来てよ。」と7月に宇治で「大阪の広域化の状況」について報告しました。
 今春、東大阪市の水道企業団への統合についての新聞記事が目にとまり連絡。
 数年前から、奈良県域水道一体化についての学習交流会に参加していた縁もあり、奈良市に報告依頼。
 誰か自治体職員で報告をと思い、大阪府下の統合した自治体やこれから統合する自治体の労組役員に声をかけましたが誰も手を上げてもらえず、近畿公企評から奈良市の役員さんを推挙いただき、報告してもらえることに。
 当日は、途中音声が入らなかったり、資料の共有が出来なかったりというトラブルがありましたが、概ね良好にweb配信することが出来ました。

 

 水道法改正によってコンセッション方式による水道民営化が可能となったのに、「国は広域化に力を入れているのはなぜなのか?」、「おいしく安い自己水ではなく、高いダムの水を買わせるためなのか?」~自治労連公営企業評議会事務局長の問いかけに答える形で進められた水分科会。
 はじめに立命館大学の仲上健一名誉教授から「水道法改正後の広域化の課題」として基調報告。「急激な人口減少に直面する今、水道事業の基盤強化には国民の知恵を集めなければならない」、「水道法改正では水道事業経営の観点のみで議論が進み、命の水という視点がかすんでいた。今後は命の水という視点からも課題解決策を探る必要があるのでは」と提言があり、以下の発言がありました。
○京都…住民の知らないところで美味しい自己水を放棄することが決定。広域化は民営化の一里塚!安全で低廉で美味しい自己水・地下水を優先する住民の運動で『命の水』を守ろう!
○奈良…市にとってメリットなしの県域水道一体化について報告。消防、後期高齢者医療制度も広域議会があるが、年2回1時間程度の審議しか行われておらず、水道企業団も同様になる。香川県の水道企業団議会では質疑はなく理事者提案の承認機関。水道料金値上げや民営化も住民の目が届かない。
○奈良…働く職員の立場から、僕らが守ってきた浄水場は必要と思いこれからも必要だと思って更新している。廃止を県に勝手に決められるのは辛い。浄水場を一体化で無償譲渡するのは、どこの自治体でも抵抗がある。
○富田林…広域企業団への統合によって、水道料金の値上げ、災害用の水道施設の廃止など、自治体独自の福祉施策や防災施策の廃止に危機感を持っており、不勉強で賛成してしまったと後悔している議員も。労働組合や研究者から施策提言を行って、議員にもっと勉強してもらうべき。
 質疑応答で印象に残ったのは、「水道に携わる職員が広域水道に行かないようには動けないのか?」という、「自治体職員でもっと考えろ」と受け取れるもの。
〈奈良〉労働組合としては賃金労働条件で交渉することになる。行かないという選択肢があるかどうか次第。
〈堺〉「広域水道」に行くかどうかは「住民(議会)」の選択。
 大阪の地下鉄民営化時の職員の身の振り方については「95%が『民間』を選択!」とマスコミ報道があったが、もう一つの選択肢は「退職」。労働者は生活がかかっており、意に沿わないからと退職すれば家族が路頭に迷う。広域水道企業団は「元の自治体に残る」という選択肢があるが、大阪市にある企業団の方が中小自治体より賃金は高く、「賃上げ」を反対する労働組合は無い。一般的な職員の興味は「給料」がどうなるのかということ、という答えが返されていました。