たたかいに学び、もう一歩前に進もう(6月13日付)
夏季交渉で当局が「制度改善に向け研究」とした生理休暇について、問題提起し、職場での議論を呼びかけます。
生理休暇の変遷・働く女性の環境の変化
1922年、女性教員が中心になって、「月経時の保護」の声が上げられました。劣悪な労働環境に加え、トイレなどの衛生環境の不備や、現在のように安全で有効な鎮痛薬、便利な生理用品が普及していないという状況がありました。
1947年、戦後まもなく労働基準法の制定と合わせて、否定的な意見を乗り越えて、労働基準法第67条(当時)に、「生理休暇」が書き込まれました。戦争で男性労働者がたくさん亡くなり、女性が重労働に就かざるを得ず、そのための母性保護という複雑な背景もありました。
1960年代には、働く女性の4分の1が取得していたといいます。その時代は子どもの死亡率も高く、『婦人科の病気』の弊害は今よりもっと深刻だったでしょう。生理休暇は、母性保護の観点から、取得が進んでいたと考えられます。
また、看護婦や保母、調理員など女性中心の職場での常勤職員が多数だったこと、女性同士の助け合いの精神が機能していたこと、60年代・70年代の革新高揚期で組合の組織率が高く権利意識が高かったことなどが背景として考えられます。
「平等」の名のもとの「後退」
1985年、男女雇用機会均等法制定に伴う労働基準法改正の際に「生理休暇」という名称はなくなり、「生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置」に改められました。「安上がりな労働力」としての財界の要望と「社会の様々な分野へ進出・自己実現」という女性の生き方の変化で、女性労働者が大幅に増加しました。
さらに、賃金が上がらないなかで、「家計のために働かざるを得ない」という側面があったことも見逃せません。
生理休暇の取得率は、2014年度に生理休暇の請求者がいた事業所の割合は2・2%に過ぎず、女性労働者のうち生理休暇を請求した人の割合はわずか0・9%となっています。(厚生労働省調査より)
近年、性や出産に関わる全てにおいて、身体的にも精神的にも社会的にも本人の意思が尊重され、自分らしく生きられること(性と生殖に関する健康)、自分の身体に関することを自分自身で選択し、決める権利(性と生殖に関する権利)である「リプロダクティブヘルス/ライツ」が提唱されています。執行部はこうした観点から、生理休暇取得環境改善に向けての議論を呼びかけます。
議論の呼びかけ(素案)
①何よりも当事者の意見を聞く時間や場所を確保すること。
②申請者のプライバシーを守る申請方法に改善すること。
③会計年度非常勤職員も有給とすること。
④安心して取得できる人員体制を確保すること。
⑤シフト制職場で、確実にとれるようにシフトに組み込むこと。
⑥生理休暇の名称を再検討すること。
この素案は、あくまでも「たたき台」であり、職場の声、当事者の声で広く集めることで、豊かにしていけるものだと考えます。身近な役員や組合事務所に積極的なご意見をお寄せ願います。