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ラスパイレス指数が公表される 数値では中位も実質は「最下位以下」

3月4日付

2021年4月時点でのラスパイレス指数が公表されました。一見、堺市の数値は国並み、政令指定都市中位となっていますが、内容を分析していきます。

 

 ラスパイレス指数(ラスパイ)は国家公務員の給料水準を100とした場合、各地方公共団体の給料水準を数値化したもので、毎年4月分が公表されています。2021年4月時点での堺市ラスパイは100・2と国とほぼ変わりません。政令指定都市20市中でも浜松市・神戸市と並ぶ10位タイ(前年度は単独11位)と中位です。なお、隣接する大阪市政令市最下位の96・7。これだけ見れば「国家公務員より少し高いし、大阪市よりも3ポイント以上高いんだから、いい方かな」と思ってしまうかもしれませんが、待って下さい。これにはカラクリがあるんです。


国には本府省手当 
 ラスパイは手当全てを含んだ給与全体でなく、「本俸」部分のみを比較したものです。21年の人事院勧告資料、大阪市堺市の各人事委員会資料では、月給(本俸)は国325,827円、大阪市316,760円、堺市323,638円。平均年齢が違うため単純比較はできませんが堺市は「国並みで大阪市より高い」ように見えます。しかし国家公務員、特に霞ヶ関のような中央省庁で働く職員には「本府省手当」があります。これは近年不人気職である国家公務員対策として導入されたもので、管理職でない係長・係員に支給されます。また霞ヶ関のある千代田区などの特別区は「地域手当」が高く、本俸等に20%の加算がされます。それらが積み上がる結果、本府省職員の手当を含む平均給与は450,071円と、堺市の383,635円よりも約6万6千円も高くなります。なお平均年齢は国40・6歳、堺市41・3歳なので年齢を揃えて比較すればその差は更に広がります。


大阪市と地域手当の差
 また大阪市との比較ではやはり「地域手当」の格差が大きいと言えます。堺市大阪市大和川を挟んで接していて市職員が互いの市に住んで通勤している事例も多く、経済圏で考えても生活費はほぼ遜色ないはずですが、地域手当は大阪市16%に堺市10%と大きな差。よって同手当支給額で1万9千円も差があるため、結局本俸等を含めた大阪市平均給与は394,058円と、堺市を1万円以上も逆転。堺市は見た目の数値こそ「並み」ですが、実質は最下位市と比較しても低水準です。


賃上げの声広げよう 
 工事の積算に携わる部署には、先日国土交通省から「公共工事設計労務単価について」通知がありました。その内容は工事の積算に用いられる労務単価を平均で前年比2・5%、10年前から57・4%引き上げて労働者の確保に寄与しようというもの。転職が容易になった昨今では「給与水準を高めて人材確保」の流れが強まっています。
 直近の2年間、コロナ禍において公務員給与は引き下げられました。しかし食品、光熱費、ガソリン代等が上昇し、生活は苦しくなる一方です。春闘では官公庁・民間企業が一体となって全体の賃金引上げ、労働条件向上が求められます。堺市職労も地域労連や自治労連とともに運動し、要求実現に向けて取り組んでいきます。賃上げの声を広げましょう。