堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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会計年度職員の緊急全国アンケートから考える 処遇改善が急務 堺でも、引き続き改善に取り組もう

12月6日付

多発する自然災害や、新型コロナウイルス感染拡大でも、人々の暮らしを支え続ける地方自治体。その働き手の処遇改善が急務です。

 

●名ばかりだった
    「処遇改善」
 自治体の会計年度任用職員の2020年就労年収はフルタイム勤務で年収250万円未満が78・3%。当事者や研究者でつくる「公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)」が今年7月、全国約1300人から回答を得た緊急インターネットアンケート結果に波紋が広がりました。
 会計年度任用職員制度は20年4月に開始。自治体非正規職員のほとんどが移行しました。
 堺でも事務補助、保育教諭、相談員、認定調査員など自治体の基幹業務を担っています。
 会計年度任用職員の4分の3が女性。近年、低賃金・不安定雇用から「官製ワーキングプア」とも呼ばれ、改善が求められていました。政府による「働き方改革」により、国はようやく重い腰を上げ「処遇改善」を掲げて同制度を導入しました。
 しかし、アンケートでは、処遇改善とは名ばかりの実情が浮き彫りとなりました。
●期末手当で給与削減
 制度開始によって期末手当支給に道が開かれましたが、期末手当分の月額給与からの減額が全国各地で行われました。
 中には「『交通費を支給するから』と月額給与を削られた」「(別の制度から)会計年度任用職員制度に置き換えるために年収が100万円減額になると言われた」という、理不尽な対応への怒りの声も寄せられています。はむねっとでは11月、こうした実態を政府に伝え、給与等の均等待遇を要請しました。
●雇用不安で
   物言えぬ立場に
 雇用不安も強まっています。はむねっとの追跡調査では「職務に精通するベテランにも毎年試用期間が設けられ、履歴書の提出を求められるようになった」「やりがいを感じ働き続けたいと思うほど、毎年の契約更新時は不安」「(上司の)印象を悪くしないように腐心。さまざまなことを断れない」と、うっ屈した思いを紹介しています。
●住民の安心・安全に   向け処遇改善を
 処遇改善が進まない大本には、自治体運営の財源を抑制する、国からの地方交付税削減があります。その結果、94年から約20年間で正職員が約50万人減らされて、非正規職員が約3倍に増えました。
 多発する自然災害や新型コロナ感染拡大の際にも、人々の暮らしを支え続ける自治体職員。劣悪な処遇の放置は、住民の生活の安心・安全を掘り崩すことにもつながります。処遇の改善が急がれます。
●堺でも要求前進を
 堺市職労執行部は、5月、当事者の思いをアンケートで集め、事務補助の実態を交流してきました。
 9月に行った最低賃金引上げ等交渉では、こうした実態をもとに時給1000円以上を掲げて交渉した結果、「最低賃金引上げ額(28円)ベース」との回答があり、事務補助1~3年目の時給が引き上げられました。
 また、11月の秋季年末交渉では「非常勤の欠員解消具体策提示」を強く迫るなか、結果として一時金引下げ月数の圧縮、実施は次年度からといった回答を受けました。
 今後、春闘交渉に向けて、アンケート結果や交渉経過を報告しつつ、再度の任用時の疑問や不安など、事務補助の勤務労働条件の改善に向け、より多くの方々の声を集める方策を検討する予定です。ぜひみなさんの声をお寄せください。