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感染症法改定案を考える 罰則よりも人と予算確保を

(1月27日付)

 菅内閣は22日、罰則の新設や強化を主な柱とする新型コロナウイルス感染症対応の特別措置法改定案と感染症法改定案を閣議決定し、国会提出しました。
 特措法では、該当地域の都道府県知事が、緊急事態宣言の前段階でも、飲食店への休業・営業時間短縮などを要請、命令できる「まん延防止等重点措置」を新たに設け、応じない場合の罰則は重点措置下で30万円以下、緊急事態宣言下で50万円以下の過料(行政罰)としています。
 感染症法でも、入院の拒否や入院先からの逃走に懲役1年以下又は100万円以下の罰金、感染経路の調査を拒んだ場合は50万円以下の罰金としています。
 これに対し各界から、強い反対の声が上がっています。
 ハンセン病家族訴訟の弁護団は22日、感染症法改定案について「患者の人権を不当に侵害し憲法違反」と反対する声明を発表。
 日本医学会連合も14日、国民の協力を「著しく妨げる恐れ」があるとして罰則に反対する緊急声明を発表しました。同連合は、日本の医学界を代表する学術組織の連合体で、136学会が加盟(会長は、門田守人堺市立病院機構理事長)。
 日本公衆衛生学会と日本疫学会も同日、同様の趣旨から「刑事罰・罰則を伴わせることは不適切」とする声明を発表しました。
 労働組合でも、日本医労連が21日、声明を発表。入院拒否者らへの罰則導入を撤回するよう求めました。
 声明は「厳罰は差別や偏見を助長する。刑事罰を恐れるあまり、症状があっても検査を受けないなど、感染拡大防止が困難になる」と指摘。政府がやるべきは入院病床と宿泊施設の速やかな確保だとし「刑事罰導入は本末転倒」と批判しました。
 感染者の病床確保「勧告」に従わない医療機関の名前を公表する措置についても「病床確保が困難なのは設備や人員、減収への危惧があるため。医療機関の減収補填(ほてん)や診療報酬の大幅引き上げなどの支援策、医師・看護師の人員確保の実施が必要だ」と訴えています。
 保健所現場からも、「入院を希望する人に入院してもらうこともできず、宿泊療養や自宅療養で状態悪化し、入院に切り替えたりしている状況で何が゙罰則なのか。こちらが入院を待ってもらってごめんなさいと言わないといけないくらいなのに。罰則よりもきちんと対応できるマンパワーをまずは整えるべき」との声が上がっています。
 菅首相がやるべきは、分断を持ち込む罰則ではなく、国民への協力の呼びかけであり、人や予算の確保です。