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コロナ禍の今 政治がやることか!

高齢者医療費負担増に反対の声拡がる(12月14日付)

 自民党公明党は、9日、75歳以上の高齢者医療費窓口2割負担導入方針について、200万円以上を対象者とする方針を決定しました。今後、全世代型社会保障検討会議を開催し、最終決定する予定です。コロナ禍の中、さらなる負担増は行うべきではありません。

 

 医療・高齢者団体などから「患者の受診控えを広げる」との批判が強まる中、政府・与党間の調整が難航し、検討会議は4日にも開催数時間前に「延期」が発表されていました。9日、与党は年収200万円以上(対象人数約370万人)を引き上げの対象とすることで合意しました。首相自身が幅広い層への負担増を求めていますが、公明党は22年夏の参院選後となる同年10月以降の実施などを求めていました。

受診控えを
   さらに広げる
 2割負担への引上げの最大の問題は家計が苦しくて受診を我慢する「受診控え」を一層広げることです。民医連が実施した「経済的事由による手遅れ死事例調査」では現状の1割負担でも痛ましい事例が報告されています。受診控えはすでにコロナ禍で大問題となっています。更なる受診抑制をもたらす窓口負担増案には、社会保障審議会の部会でも「(負担増ではなく)受診や検査をしてくださいというメッセージの方が大事だ」(全国知事会)と反発が続いています。
 75歳以上の窓口負担増計画は昨年12月、安倍晋三前政権が決定した「全世代型社会保障検討会議」中間報告に基づくものです。いわゆる「団塊の世代」(1947~49年生まれ)が75歳になり始める22年度初めからの実施を目指し、年内に結論を出すとしています。社会保障費削減を推進するため、公的医療費を無理やり抑え込もうという狙いです。
 政府内の議論では、経団連は原則2割負担を強く主張しています。財務省は約1815万人の75歳以上の人のうち、対象を「可能な限り広範囲」にすることを提起しています。すでに「現役並み所得」は3割負担です。厚生労働省は、住民税非課税世帯を除く約945万人(75歳以上全体の52%を2割負担にした場合、1人当たり年平均3万4千円の負担増になる推計を公表しました。公的年金が抑制され収入が増えない高齢者にとって、あまりに大きな打撃です。
 財務省などは、まるで75歳以上の窓口負担が「軽い」ように描きます。しかし、年収に対する窓口負担割合でみると、75歳以上は40~50代の2~6倍近い負担をしているのが実態です。75歳以上は収入が少ないのに、年齢が進むにつれて複数の診療科や医療機関にかからざるを得ず、受診回数も増えるためです。このような高齢者にさらに重荷を強いることは、必要な医療を受けることを妨げます。
 高齢者の負担は医療窓口だけではありません。介護保険でもすでに利用料の2割負担が一定所得以上で行われています。医療や介護の保険料も増加の一途です。介護保険の2割負担開始後、介護サービスを中止した人が少なくありません。医療でも病院に通うのをあきらめる人が続出しかねません。早期発見・治療の遅れで重症化すれば、逆に医療費は膨らみます。負担増に道理はありません。


コロナに
  追い打ちやめよ
 コロナ禍での受診控えで高齢者の健康への影響が懸念される中での原則2割負担化には、「さらなる受診控えを生じさせかねない政策をとり、高齢者に追い打ちをかけるべきでない」(日本医師会)と批判が相次いでいます。コロナから高齢者をはじめ国民の命と健康を守る体制の強化がなにより急がれる時に、それに逆行す」る窓口負担増はやめるべきです。