10月7日付
A下図は、特別区の財政制度を表したものです。ポイントは府が特別区の財政運営に大きな影響を与える点にあります。
現在の大阪市民は大阪市に対して、基幹税にあたる個人市民税、法人市民税、固定資産税を支払っています。これが特別区民になれば、特別区には個人市民税を払い、法人市民税、固定資産税などは、「大阪府税」として府に納めることになります。
さらに、国から直接大阪市に支出されている地方交付税等も、府の財源として府の会計に収入されてしまいます。
これでは特別区の行政サービスはできなくなるので、府は4つの特別区域から吸い上げた財源の一部を各特別区へ配分します。これが「財政調整交付金」です。仮に、この財政調整交付金が「毎年充分」配分されるのなら、問題は起きないのかもしれません。
しかし現実は、財政が豊かな東京でも「都」と「区」の財政調整は大きな問題になっていて、23の特別区が集まる「特別区協議会」は「都区制度は、もはや時代遅れ」「都区間で行っている財政調整を廃止する必要がある」とさえ提言しています。
さらに各特別区はあくまで別の自治体なので、納めた税金が他の特別区へ回される状況に対して、特別区相互の間でも財源配分をめぐる問題が発生します。
そもそも「都制度」は戦時中、昭和18年に「帝都防衛」を目的に導入されたものです。「時代遅れ」な制度を今さらまねることは、財政をめぐる府と特別区、特別区間の対立にとどまらず、地方自治拡充の歴史に逆行するものです。